第6回瀬戸内植込みデバイスカンファレンス(2018年1月7日開催)

アンケートにご協力頂きありがとうございました。

要望・質問の回答を掲載します。

(質問)LVリードを皮下トンネル経由で留置した症例ですが、開胸のOpを行う場合は、どう対応するべきなのか。

(回答)もしこのような症例があった場合は少なくとも皮下にある部分のリードは除去しなければ胸は開けれないかと思います。今回はLVリードということなので手術の最後にLVに心筋リードを追加するのが一般的なやり方だと思われます。(福山循環器病院 桑木)

(質問)電磁干渉の件数(各施設)が知りたいです。

(回答) 各施設の件数を調査することは難しいのですが、あまりトラブルはないと思われます。デバイス植込み患者は高齢な方が多いため、影響があったとしても気づいていないケースもあるかと思いますが、各メーカーともEMI対策および説明は充分行われていますし、何よりMEによるデバイス業務への関わりが深化していることによるメリットが大きいと思われます。しかしながら携帯電話等通信機器の進化による影響、または電気自動車の急速充電気等、今後新たに影響を及ぼすものが増加していくと思われますので、各メーカーの協力や総務省から発信される電波利用のホームページの情報を確認しつつ、今後の業務に活かしてほしいと思います。(岡山赤十字病院 伊藤)

(質問)テレメトリーの不具合について報告があったが病院内・生活環境における電波障害と各メーカーの経験、作動、注意点などを聞いてみたいと思った。

 

(回答)1.テレメトリーの不具合について

 

RFテレメトリにはMICSMedical Implant Communications Service:体内植込型医療用データ伝送システム)帯(402405MHz)の信号を使用しています。テレメトリ(ワンド、ワイヤレスとも)は無線通信であるため電磁干渉を受ける可能性があります。電磁干渉源としては電波を発生する機器(携帯電話、携帯ゲーム器、無線LANなど)、電磁波を発生する機器(ディスプレイ、3Dマッピング装置など)、電波を妨害したり反射するもの(ケーブル、金属板など)があります。また電波は距離の2乗に比例して減衰するため通信状態は悪くなります。テレメトリ推奨距離をメーカーに確認してみましょう。

 

2.病院内・生活環境における電波障害について

 

電磁干渉は外部の電磁界の影響(電磁波など)に曝露した生体からノイズが生じCIEDsのセンシング機能を妨げ作動に干渉することを示します。

 

人体へのノイズの侵入経路は3経路あります。

 

①体に電流が流れる「伝導電流」: 筋刺激装置、体脂肪計、アース不良の家電、電気メス、除細動器など。

 

②体に磁力線が浴びせられる「変動磁界」: IH調理器、EAS、全自動麻雀卓、マッサージチェア、金属探知機、ワイヤレスカードシステム、電気自動車の急速充電器、XCTMRI検査、γ線照射装置、3Dマッピング装置など。

 

③体に電流が流れる「高電圧交流電界」:高電圧送電線、配電盤、新幹線車両基地、高電圧治療器、高電位治療器など。

 

CIEDsにある一定以上の強さを持つ「静磁界」が近づくとマグネットモードへ移行します。

 

①体に磁力線が浴びせられる「静磁界」:磁気ネックレス、貼付用磁気治療器など。

 

主なCIEDsへの影響は、①ペーシング抑制、②ノイズトラッキング、③ノイズリバージョン、④モード変更、⑤リセット、⑥不適切なショック作動など考えられます。

 

医療環境における電磁干渉は、検査機器、治療機器により異なります。CIEDsへの影響も大きくペーシング依存度、使用する機器に応じた対応、マニュアルが必要です。

 

日常生活における電磁干渉は可逆的で実際の健康被害は稀であるとされています。

 

職場環境における電磁干渉は、職種・環境によって異なってきます。

 

ICから患者個々の環境に応じた指導が必要となってきます。(香川県立白鳥病院 秋山)

 

(要望)心臓植込みデバイスとは違いますが、去年から脊椎の植込みデバイスであるSCSに着手しており設定方法・考え方に興味があります。 今後、当研究会で扱う予定はありますか?

(回答)心臓植込みデバイスについて広く扱います。他領域の植込みデバイスに関しては現在取り扱う予定はございません。(藤井ハートクリニック 高橋)

(要望)His束ペーシングについてもっと詳しく知りたいです。 教育講演などに取り入れてほしいです。

(回答)第7回瀬戸内デバイスカンファレンスでメーカープレゼンもしくは教育講演等で取り扱う予定です。(心臓病センター榊原病院 有道)

(要望)MRI関連業務やリードレスPM等、最近の話題についても勉強したいです。

(回答)当研究会では、皆様から頂いたご意見や近年のデバイス業界の動向などを踏まえた上で、基礎から最新情報まで学ぶことができるようなプログラム作成を心掛けております。開催年によっては個人的な期待に副わないプログラムとなっている場合があるかと存じますが、皆様の業務に役立つ知識・情報を一つでも習得して頂けると幸いです。(岡山大学病院 竹中)

(要望)一般演題のスライドのプリントがほしい。

(回答)各演者・各担当の負担を考慮しながら各セッションで配布資料を極力作成するように検討しています。(藤井ハートクリニック 高橋)

(その他の声:一部掲載)

 

・来年も参加を楽しみにしています。

 

・大変勉強になりました。

 

・メーカ独自のアルゴリズムを知れて、今後の業務に役立つ!!

 

DDDの動作などについて、改めて学びなおそうと感じました。

・とても、勉強になる会でした。今後の業務にいかしていくと共に病院へ知識を持ち帰り、フィードバックしていきたいと思った。

その他、多くのご意見を頂きました。 今後の研究会運営に役立てていきたいと思います。